
気になっていた展覧会。ずっと観たかった映画。チケットを取るところまでは進むのに、「一人で行くのか……」と思ったとたん、なんとなく足が止まってしまう。そんな経験はありませんか。人混みが苦手というわけでもないし、一人の時間が嫌いなわけでもない。それでも美術館や映画館だけは、どこかさびしさが顔を出す。この記事では、その気持ちの正体をやさしくほぐしながら、鑑賞をもう少し楽しみやすくする工夫をお伝えします。大阪市内を中心に活動するレンタルおじさん「こんなおっさんDo?」の、同行という使い方もあわせてご紹介します。
美術館や映画館だけ、一人だとさびしく感じるのはなぜ?
不思議なもので、一人でカフェに入れる人でも、一人でスーパーに行ける人でも、美術館や映画館になると急にハードルが上がることがあります。そこには、いくつか共通する理由があります。
▶ 感想の行き先がないまま、家に着いてしまう
いちばん大きいのは、これではないでしょうか。展示室を出た直後や、エンドロールが終わった直後は、いちばん気持ちが熱い時間です。ところが一人だと、その熱がどこにも向かわないまま電車に揺られ、家に着くころにはすっかり冷めている。感想そのものがなくなるわけではなく、受けとめてもらう機会だけが抜け落ちるのです。
▶ 静かな空間だからこそ、自分の存在が際立つ気がする
展示室も上映中の劇場も、基本的におしゃべりをしない場所です。まわりが静かだと、かえって「自分だけぽつんといる」という感覚が強くなることがあります。
▶ 感じたことを、その場では外に出せない
これは美術館や映画館ならではの事情です。観ている最中に「これ好きだな」と思っても、声にはできません。途中で席を立ちにくい作品もありますし、観終わればそのまま出口から日常に戻ります。気持ちが動いている時間の長さに対して、それを外に出せる時間が極端に短いのです。
どれも、わがままでも気にしすぎでもありません。むしろ、感じたことをちゃんと味わいたい人ほど、こうした物足りなさに気づきやすいのだと思います。
「誰かと一緒に観る」と、体験そのものが濃くなるという研究
話さなくても、同じものを同時に観ているだけで感じ方は変わる
アメリカ・イェール大学のエリカ・ブースビーさんらの研究チームが、2014年に心理学の学術誌『Psychological Science』で発表した研究(「Shared Experiences Are Amplified」)に、こんなものがあります。参加者にチョコレートを味わってもらい、「同じタイミングで隣の人も同じチョコレートを食べている」場合と、「隣に人はいるけれど別のことをしている」場合とで、感じ方を比べたのです。
結果、おいしいチョコレートは、誰かと同時に味わったときのほうが「よりおいしい」と評価されました。しかもこの実験では、味わっているあいだは隣の相手と言葉を交わせないようになっていました。感想を言い合ったからではなく、ただ同じものを同時に味わっているというだけで、感じ方が変わったということです。
この研究では、苦くておいしくないチョコレートの場合も試されています。そちらは反対に、誰かと一緒に味わったほうが「よりおいしくない」と評価されました。つまり、良い体験も、そうでない体験も、共有すると強まるという結果です。
ただし、この実験の参加者はいずれも20人あまりで、大学生を対象にした小規模なものです。チョコレートと展覧会をそのまま同じに扱うこともできませんし、この一つの研究がすべてを説明するわけでもありません。それでも、「一人で観ると、なんだか物足りない」というあなたの感覚は、少なくとも気のせいと切り捨てられるようなものではなさそうです。感動を分かち合いたいという気持ちは、とても人間らしいものだと言えます。
一人でも、二人でも。鑑賞をもう少し楽しくする工夫
「じゃあ誰かを誘わなければ」と気負う必要はありません。今日からできる小さな工夫でも、鑑賞の時間はずいぶん変わります。
▶ 観たあとの時間を、先に予定に入れておく
観終わってすぐ帰らず、30分だけカフェに寄る。それだけで、胸のなかの感想がゆっくり落ち着きます。「観る」だけでなく「味わって帰る」までを一つの予定にしてみてください。一人での外食が気まずいと感じる方は、一人で外食ができないという気持ちについての記事もあわせてどうぞ。
▶ 感想を、その場で残しておく
スマホのメモに一行でも書いておくと、感想の行き場ができます。あとから読み返すと、自分だけの鑑賞記録になっていきます。
▶ 混みにくい時間帯を選ぶ
平日の午前中や、公開・開催からしばらく経った時期のほうが落ち着いて観られた、という声はよく聞きます。混み具合は施設や作品によって違うので、気になるときは公式サイトの案内を見てから出かけると安心です。人の多い場所そのものが苦手な方は、人混みが怖い、でも出かけたい方へのヒントも参考になるかもしれません。
▶ 「わかる人と行かなきゃ」と思わない
詳しい人と行かないと恥ずかしい、という気持ちは案外強いものですが、鑑賞に正解はありません。「よく分からなかったけど、あの色は好きだった」で十分です。
それでも隣に誰かがいてほしいときは「こんなおっさんDo?」へ
工夫をしてみても、「やっぱり今回は誰かと行きたい」と思う日はあります。そんなときに使っていただけるのが、レンタルおじさん「こんなおっさんDo?」の同行です。
静かに隣で、同じものを観る。そんな使い方ができます。「観ているあいだは話しかけないでほしい」「終わったら感想を聞いてほしい」といったご希望は、そのままお伝えください。感想を上手にまとめる必要はありませんし、こちらが作品の解説をすることもありません。言葉にならない感想を、そのまま受け取るのが役目だと思っています。
ライブやイベントなど、にぎやかな場所への同行についてはイベント・コンサートに一人で行くのが不安な方へで書いています。今回の美術館・映画館は、同じ「同行」でも静かに過ごす時間が長い分、少し性格の違う使い方です。
料金は1時間1,000円。大阪市内を中心に対面でご一緒します。なお、チケット代や入館料はおっさんの分もあわせてご依頼者様のご負担となり、現地までの往復交通費も実費でいただいています。お支払いの条件はご利用ルールのページに書いていますので、ご依頼の前にご確認ください。「行こうかどうか迷っている」という段階のご相談なら、LINE通話で全国どこからでもお受けしています。
観たあとの「よかったね」を、ひとりで飲み込まなくていい。
レンタルおじさん「こんなおっさんDo?」/1時間1,000円・大阪市内対面/LINE通話は全国対応



