
気づけば、今日も誰とも話していない。そんな日が続くと、ふと「このままだとどうなるんだろう」と不安になることがありますよね。結論からお伝えすると、孤独や孤立が続くと気持ちにも体にも影響が出やすくなると、世界保健機関(WHO)が報告しています。ただ、それはあなたが弱いからではありません。そして、人とのつながりは小さなところから取り戻せます。この記事では、怖がらせるためではなく「知って、少し楽になる」ために、分かっていることを順にお話しします。
話し相手がいない日々が続くと、心と体に起こりうること
2025年6月、WHOの「社会的つながりに関する委員会」が、孤独と社会的な孤立についての報告書をまとめました。そこでは、世界で6人に1人が孤独の影響を受けているとされています。報告の中から、「話し相手がいない」と関わりの深い点を3つ紹介します。
▶ 気持ちが沈みやすくなる
WHOは、孤独を感じている人はうつになる可能性が2倍になると伝えています。不安や、自分を傷つけたくなる気持ちにつながることもある、とも書かれています。「最近なんとなく気分が重い」と感じるなら、それは気のせいではないかもしれません。気持ちがとてもつらいときの相談先は、この記事の後半で紹介しています。
▶ 体の病気のリスクにも関わる
孤独や孤立は、脳卒中や心臓病、糖尿病のリスクを高めるとされています。報告では、孤独が1時間に約100人、年間87万人以上の死亡に関わっていると推計されました。
▶ 頭の働きとも関わる
同じ報告では、認知機能の低下とも関わりがあると挙げられています。人と言葉をやりとりすることは、思っている以上に頭と心を動かしているのかもしれません。
ここで大事なのは、これらが「関わりがある」「なりやすい」という話だということです。話し相手がいない人が必ずそうなる、という意味ではありません(出典:WHO「Social connection linked to improved health and reduced risk of early death」/2025年6月30日発表)。
「話し相手がいない」は、あなたのせいではない
国の法律にも「何人にも生じ得る」と書かれている
日本では2024年4月1日に「孤独・孤立対策推進法」が施行されました。この法律の基本理念には、孤独・孤立の状態は「人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るもの」と書かれています。そして、その問題は社会全体の課題だ、という考え方が示されています(出典:e-Gov法令検索「孤独・孤立対策推進法」第2条)。
転勤、引っ越し、退職、家族との別れ、体調の変化。話し相手が減るきっかけは、誰の人生にも普通にあります。「自分に何か欠けているから一人なんだ」と責める必要はないのです。
友達の「数」の問題でもない
WHOは孤独を、「望んでいるつながり」と「実際のつながり」の差から生まれる、つらい感覚と説明しています(つながりが客観的に足りない状態は「社会的孤立」と呼び、孤独とは分けています)。つまり、知り合いが多くても本音を話せる人がいなければ寂しいし、少なくても自分にとって足りていれば孤独は感じにくい。大切なのは人数だけではなく、あなたにとって「話せる相手がいる」と思えるかどうかです。
話し相手を取り戻す、小さな一歩
▶ 「話しかけたら迷惑かも」は、実際より強く感じているかもしれない
アメリカ・シカゴ大学のニコラス・エプリーさんとジュリアナ・シュローダーさんが2014年に発表した研究があります。通勤電車やバスで「近くの知らない人と話してみる」ようお願いされた人は、黙って過ごした人よりも移動の時間を心地よく感じ、時間を有効に使えたという実感も下がりませんでした。ところが、別の参加者に予想してもらうと、答えは「一人で過ごすほうが快適」と真逆。その理由の一つは、相手の「話したい気持ち」を低く見積もってしまうことにあったそうです。待合室に見立てた実験室での実験では、話しかけた側だけでなく、話しかけられた側も同じくらい心地よく感じていました(出典:Nicholas Epley, Juliana Schroeder「Mistakenly Seeking Solitude」Journal of Experimental Psychology: General/2014年)。
アメリカでの研究なので、日本の満員電車で同じようにいくとは限りません。それでも、「自分なんかが話しかけても」というブレーキは、実際より強くかかっている可能性があります。
▶ 会話のハードルを、うんと下げる
いきなり深い話をする必要はありません。WHOも、近所の人へのあいさつや、スマホを置いて目の前の人との会話に集中することなど、日常の小さな行動を挙げています。コンビニで「ありがとうございます」と声に出す。それだけでも、今日の「誰とも話していない」は一つ減ります。自宅で過ごす時間が長い方は、在宅ワークで一日中誰とも話さない方へも参考になるかもしれません。
▶ 話す相手は、親しい人でなくていい
先ほどのエプリーさんたちの実験で、話した相手はみんな「知らない人」でした。それでも移動の時間は心地よくなっていたのです。「話し相手=親しい友達」と決めつけなくても、声を交わす相手は案外見つかるのかもしれません。夜に寂しさが強くなる方は、一人暮らしで話し相手がいない夜の過ごし方もあわせてどうぞ。
▶ つらさが強いときは、専門の窓口を先に
気分の落ち込みがなかなか抜けない、眠れない、食欲がないといった状態が続くときは、話し相手を探すより先に(あるいは並行して)、医療機関(心療内科・精神科など)や公的な相談窓口を頼ってください。厚生労働省のサイトでは、次のような電話窓口が紹介されています。
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
かけた場所の都道府県・政令指定都市の公的な相談窓口につながります(受付時間は地域で異なり、通話料がかかります)。
よりそいホットライン 0120-279-338
24時間対応・フリーダイヤル。
#いのちSOS 0120-061-338
「死にたい」「消えたい」ほどつらいときに。24時間365日・フリーダイヤル。
※050で始まるIP電話からはつながらない番号や、別の番号になる場合があります(よりそいホットラインは、福島県からかける場合も別の番号です)。番号や受付時間は変わることがあるため、最新の情報は出典のページでご確認ください(出典:厚生労働省ホームページ「まもろうよ こころ」電話相談窓口/2026年9月時点)。
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おっさんは医師でもカウンセラーでもないので、治療の代わりにはなれません。そのかわり、説教も否定もせずに相づちを打つことはできます。話した内容を外に漏らすこともありません。「特に話すことはないけど、誰かの声が聞きたい」。そんな理由で十分です。寝る前に少しだけ話したい方は、寝る前の30分だけ誰かと話したい方への記事も読んでみてください。
出典:WHO「Social connection linked to improved health and reduced risk of early death」、厚生労働省ホームページ「まもろうよ こころ」電話相談窓口。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。
黙ったまま終わる一日に、おっさんの相づちをひとつ。
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